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スタッフのつぶやき

エル・システマ ~音楽教育を通じて貧困層の子供たちの健全な成長を図るための組織@ベネズエラ

posted on 2008年11月 7日 19:34

こんにちは、根津スタジオを利用して活動しているNPOアニマートの榎本です。


アニマートのblog
では、音楽系の興味深い事例や団体運営の参考になりそうな事例を紹介しています。

今回にアニマートのblogで取り上げた「エル・システマ」と「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」の事例は、
エンパブ的にも参考になる点が多いかと思うので、この根津スタジオblogにも掲載させて頂きます。

音楽教育を通じて貧困層の子供たちの健全な成長を図るための組織「エル・システマ」。

エル・システマ(EL SISTEMA)は南米ベネズエラで33年前に青少年人材育成システムとして発足。
ベネズエラは豊かな石油資源を背景に近代化を推し進めた一方、同時にオーケストラというツールを使って青少年を将来ある豊かな人間に育成することを目指したそうです。
ベネズエラの音楽愛好家や音楽大学、このシステムに賛同したプロの世界的音楽家たちの支援と指導を受け、30余年の月日を経て高い水準で発達しその国挙げての試みは見事に成功。
現在、欧米主要国各地でそのノウハウを自国や地域の社会状況に合わせ、実現可能なプログラムに組み替える研究や取組みが既に進められているとのこと。


正直、「ベネズエラにオケってあるの?」って感じだったんですが、、、
以下、その概要を資料から抜粋させて頂きました。

====

■設立
●1975年、青少年グループがベネズエラの首都カラカス市街の地下駐車場スペースに集まり共にアンサンブルを演奏することからスタート。オルガン奏者、エンジニア、政治家でもあったアブレウ博士の先導により現在「エル・システマ」と呼ばれる青少年オーケストラ基金(FESNOJIV)の基盤となった。

設立当時は国内に2つだったオーケストラが、エル・システマ設立後、現在までに国内300まで増える。
(60以上の子供オーケストラ、約200のユース・オーケストラ、30のプロフェッショナル・オーケストラなど)

過去30年で100万人の子供達(3歳から19歳)が「エル・システマ」に参加。
(参加者の67%は貧困層から来ており、殺人および銃による犯罪率が高い地域からやって来た少年院出の子供や孤児も含まれる)


■しくみ
子供たちを財産にする「あなたは出来る」褒める人材育成システム
「このシステムは、子供達一人一人に自分が財産であると思えるような環境を作るところから始めている。なぜならば、このプログラムに参加する前はそう感じたことがない子供がほとんどだから。そして、いつもみんなが楽しむことを忘れないように気を配っている。」

練習の場は、完全に「ポジティブで快適な環境」になっており、恐怖、緊張、ストレスなどの要素は一切取り除かれている。演奏が充分でなくても指導者は決して「ダメ」や「無理」と言うことはなく、「あなた達は音楽を創れる」という様なポジティブなコメントが定期的に与えられ、常時ポジティブなフィードバックがある状態に保たれている。

■資金
全額ベネズエラ政府(社会福祉庁)による助成。
30年間に5回変わっているベネズエラ政権を通して削減されるどころか増資され続け、現在の年間予算は約65億円。
現政権はシステムに所属する子供達を10年間で100万人に達成させる意向を発表している。

■社会的成果
2007年度、米州開発銀行がこの「エル・システマ」の事業規模拡大や施設建設のために150億円の融資を実行。
開発銀行の調査の結果、プログラム参加者たちの学業レベル、地域社会への参画度が大きく改善され、また、このプログラムが及ぼすコミュニティ全体への経済的波及効果が大変大きく、このシステムが地域社会変革の手段としても有効である、と証明されたとしている。

単なる国挙げてのソーシャルサービス・プログラムとしてだけではなく、膨大な数のリスクを持つ子供達の生活を向上させながら、また芸術や芸術家たちを資本として創出しながら時間をかけて発達してきた。

■評価
音楽教育事業の大国であるアメリカの専門家達が「エル・システマ」について「ベネズエラは今世界で最も進んだクラシック音楽の育成システムを実践している」と評価

※出典
*「今ヴェールを脱ぐ、シモン・ボリバル・ユースオーケストラ」山田真一 音楽の友 8月号
*"A Visit to Venezuela" Eric Booth, Chamber Music America VOL.25, NO.5 September /October 2008
*"El Sistema on the Launching Pad" Shirley Apthorp, Musical America Sept 26, 2008
*"Amid Despair in a Venezuelan Prison, Strains of Hope from a Music Program" Simon Romero, The New York Times, June 23, 2008
*"Conductor of the People" Arthur Lubow, The New York Times, October 28, 2007
*"IDB approves US $150 million to support youth orchestras in Venezuela" Inter American
~日本ベネズエラ音楽交流支援委員会からの資料を参考にさせて頂きました。

====

音楽が必ずソーシャルな活動につながるものとは限らないと思います。
だけど、本質的には世の中で最もソーシャルな要素を持った活動の一つは、音楽だと思います。

「子供たちの健全な成長を図るため」の音楽。
そういえば、僕の高校時代の吹奏楽部で掲げていた目標の一つが、「吹奏楽を通しての人格形成」だったことを思い出しました。
(周囲から見れば、ガチなコンクールバンドだったけど)

そもそも、音楽教育の普及は、単純な芸術振興のためだけでなく、
教育的要素が含まれているものなんですよね。

30年かけて、ここまでスキームを作り上げたエル・システマとベネズエラの国は、
社会にとって最高の資源である「良い人」をずっと送り続けてきたのだと思います。

年末には書籍も出るようです。


=====

このエル・システマの選抜チームが「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」です(プレーヤーは15-25歳)。
ベルリン・フィルのサイモン・ラトルやクラウディオ・アバドなど、世界中の著名な音楽家達が、このオーケストラの発展に長年に渡り携わってきたそうです。

このシモン・ボリバル・ユース・オーケストラが今年、日本でコンサートを開きます。
以下、イープラスの専用ページです。

★シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ特集ページ
http://eplus.jp/sys/web/s/sb/index.html

★シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ演奏シーン
http://mv-classic.eplus2.jp/article/108490100.html

「ただ単純にうまいオケだから聞きにいく、、、」ではなく、
こういうストーリーを知った上で聞く演奏も、
とても意義があることだと思います。

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