〔目からウロコ本:その5〕地球のなおし方
posted on 2008年11月 1日 23:14
子育て主婦Ybによる目からウロコ本、第5回目は、
「地球のなおし方 ~限界を超えた環境を危機から引き戻す知恵」
(ドネラ・H・メドウズ、デニス・H・メドウズ、枝廣淳子:ダイヤモンド社)
「次はこの本を」と、広石社長から手渡された本書。「そうよね、今の時代、環境関係の本も勉強して
おかないとね」と納得していたら、「それ、システム思考の本ですから」。えっ、そっそうなんだ。
どうやら、システム思考かぶれの私のために紹介してくれた本らしい。
しかし、よく考えてみると、まさに環境問題こそ、「システム思考」で取り組まなければならない最たる
問題であるといえる。多岐の分野、多岐の地域にその要因がわたり、複雑に絡み合った問題。これを解
決する正しい方向へ進めるには、表面的な問題に取り組むだけでは確かに、根本的な解決にはつなが
らない。
の解決には「自分の行動を変え、それを多くの人に働きかけること」が重要として、それをサポートす
るための会社を立ち上げ、システム思考などのメソッドの普及に努めてらっしゃる方である。
そもそも本書も、共著者であるデニスの著書である「成長の限界、人類の選択」のメッセージを多く
の人に伝えたい、デニスたちにとってはいわずもがなの前提になっている「システム思考」の考え方を
日本の人々に伝え、使えるようにしてほしいという思いから、書かれたものとなっている。
本書を読み進めていくことで、「システム思考」の考え方やものの捉え方を、具体的な事例で考え
ながら知ることができる。 また、本書の中では、2100年に地球はどうなるのかというシミュレーション
が様々な条件を変えた数パターン示されている。
この中での、パラメーターは、汚染排出量や汚染吸収量といった環境関連のものだけでなく、出生、
死亡、投資、土地開発、工業用に転地された土地など私たちの生活全般に関連したものになってい
る。このパラメーターを考えるだけでも、環境問題の複雑さがわかる。残念ながらこれらのシミュレー
ションの結果は明るいものではない。本書を読んでいると、地球の未来、さし当たっては自分の子ども
や孫くらいの時代の悲惨さに不安を覚え、問題の切実さを感じる。単に空気の悪い中で生活すると
か、気温が高くなるといったことだけではなく、食料難や資源不足、ひいては平均寿命の短縮など、
生きることすら脅かされる状態になることがわかる。
しかしながら、暗い結果ばかりではない。
ある条件のシミュレーションだけは、なんとか地球の限界を超えずに「持続可能な社会」が実現でき
るという結果が示されている。そして、その中の条件で大切なことは「成長を抑制すること」つまり「足
るを知る」とされている。「足るを知る」とは、「成長の抑制」として人口を抑制するだけでなく、私たちの
物質的な生活の質もある程度(十分ではあるが過剰でない生活水準、具体的には、一人当たりの工
業生産を2000年平均より10%高めにするという設定であり、これは貧しい人たちには大きな前進であ
るが、豊かな人は消費パターンの変革が必要)にすることである。
今までとにかく成長することがよいと考え働いてきたその概念を全く変えなくてはならないことになっ
てしまう。
これを、本書の中では、産業革命に匹敵するくらいの人類の革命「持続可能性革命」としている。
地球をなおすためには、それくらいの覚悟と変革が必要なのだと感じる。
日本でこれができるのか、自分はできるのかと思うのが、とにかく、いわゆる先進国に住んでいる私
たちには大きな心の変革が必要である。
著者は、さまざまなデータでシミュレーションをして、多分科学的思考で分析してということをしてい
るが、それだけ科学的理論的に取り組んでいても、最後にこの持続可能性革命を成功させる5つの
ツールの一つとして示したものが、「慈しむこと」であった。
えっ、こんな精神論でいいの?(それには立派な根拠があるのだが、、、)。
著者自身も『「革命」と呼べるほどの規模の変革が必要な現状を考えれば、この五つは頼りない
ツールにみえるかもしれません』と書いているが、正直、ホントにそう思う。
しかし、やっぱり、環境問題解決の根本には一人一人の心の問題があり、政府などが上からどーん
と押し付けるだけでなく、一人一人の変化が大きな変化につながるようなシステムでなければ解決で
きない問題なのだということを痛感するのである。
昔、NHKの英語でシャベラナイトという番組で、「イギリスはおいしい」の著者である林望さんが、英
国人がイングリッシュドリームとして望む生活は、心地よいこじんまりとしているけど手入れの行き届
いた自宅の庭でゆったりと、本を読むことと話されていた。また、その時、番組のMCであるアメリカ人
のパックン(ハーバード大卒のお笑い芸人)は、アメリカンドリームといえば、大金持ちになってプール
つきの豪邸で派手に生活し、大きな車を乗り回しことだといって、その対比にすごく感慨深げであっ
た。どちらがいいかは価値観の問題であるが、環境問題として考えるとやはりこの辺りで、我々もアメ
リカンドリームではなくて、イングリッシュドリームを望むような価値観が必要となってくるのではない
かと思う。
たしか、映画「ノッティングヒルの恋人」のエンディングも、ハリウッド女優である主人公が、英国のし
がない本屋と結婚し、庭で本を読みながらくつろぐというものであったと思う。あれも、これにつながる
幸福感なんだとまた、一人で納得してしまいました。
さて、あなたは、イングリッシュドリーム派?アメリカンドリーム派?
〔目からウロコ本 ☆バックナンバー☆〕
第4回 レクサスが一番になった理由
第3回 最強組織の法則
第2回 発想する会社
第1回 ワークショップ・デザイン

